行政書士事務所のマーケティング、何から手を付けるか|ビザ(国際業務)を例にした全体像
行政書士事務所のホームページを作っても問い合わせが増えないのは、依頼者を1種類だと思って発信しているためです。ビザ(国際業務)を扱う事務所を例に、外国人本人と受け入れ企業という2種類の依頼者に向けたマーケティングの全体像を、行政書士事務所のAI集客(GEO・AI-SEO対策)を支援する視点で解説します。

「事務所のホームページはあるのに、問い合わせは知人の紹介ばかり」という行政書士事務所は少なくありません。特にビザ(在留資格)を扱う事務所は、依頼者の探し方そのものが、他の分野と違います。
私は行政書士ではなく、行政書士事務所の集客をAIと検索の両面から支援する立場です。この記事では、行政書士事務所のマーケティングをどこから始めればよいか、ビザ(国際業務)を扱う事務所を主な例にして、全体像を整理します。
依頼者を1種類だと思って発信を続けているかぎり、問い合わせは増えません。まず依頼者を2種類に分けるところから説明します。
要約
- ビザ業務の依頼者は、手続きが必要な外国人本人と、受け入れ企業の2種類に分かれ、検索する言葉も場所も違います
- 検索エンジンだけでなく、生成AIに質問してから探す人が増えているため、質問への答えをそのままページに書く方が見つけてもらいやすくなります
- 専門分野を1つか2つに絞って発信するほうが、実績が少ない段階でも検索やAIの回答に出やすくなります
扱える分野を広く見せているのに、問い合わせは知人の紹介ばかり
行政書士事務所のホームページを見ると、相続、契約書、会社設立、ビザと、扱える分野が並んでいることがよくあります。開業したばかりの事務所ほど、依頼を逃したくない気持ちから、分野を広く見せがちです。
ところが、依頼者の側から見ると、分野を広く見せる事務所ほど、どこが得意なのか分かりません。とくにビザ(在留資格)のように専門性が問われる分野では、「幅広く対応します」という言葉だけでは選ばれにくいのです。
分野を1つか2つに絞って発信している事務所のほうが、検索でも生成AIの回答でも上位に出やすくなります。専門を絞ることは、依頼を減らすことではなく、探している人に見つけてもらう仕掛けです。
原因は、依頼者を1種類だと思って情報を出していること
| 依頼者 | 検索する言葉 | 知りたいこと |
|---|---|---|
| 外国人本人 | 英語や母語での検索が多い | 自分がどうなるか、必要な書類、費用と期間 |
| 受け入れ企業の担当者 | 日本語で「在留資格 申請 代行」など | 会社として何をすればよいか、手続きの流れ |
ビザ業務の依頼者は、大きく2種類に分かれます。手続きが必要な外国人本人と、外国人を雇う日本企業の採用・人事担当者です。この2種類は、検索する言葉も、検索する場所も違います。
外国人本人は、日本語ではなく英語や自分の母語で検索することが多くあります。日本語のページしか用意していない事務所は、この層からは最初から見つかりません。一方で企業の採用担当者は、日本語で「在留資格 申請 代行」のような言葉で探します。
もう一つの原因は、検索だけを見て、生成AIに聞く人を想定していないことです。依頼者が検索エンジンを開く前に、まずAIに質問する場面が増えています。AIの回答に事務所の名前や説明が出るには、質問への答えがそのままページに書かれている必要があります。
私は2000年に、自分の事業として日本で会社を設立したとき、定款や登記の書類を行政書士と司法書士に依頼しました。書類の作成を任せたことで、自分で調べながら進めるより早く、間違いなく手続きが進みました。専門家に依頼する意味は、そのときの安心感と、浮いた時間にあると実感しています。依頼者が事務所を探すときも、同じように「確実に通してくれるかどうか」が伝わる情報を求めています。
今日から始められる5つの手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 依頼者を2種類に分ける | 外国人本人と、受け入れ企業を別々に考える |
| 2. 専門分野を1つか2つに絞る | 幅広く見せず、得意分野を前面に出す |
| 3. 検索とAIの両方から見つかる記事を書く | 質問への答えをそのままページに書く |
| 4. 言語を分ける | 外国人本人向けには英語のページも用意する |
| 5. 無料相談への入り口を整える | 問い合わせのハードルを下げる |
マーケティングの全体像は、上の5つの手順にまとめられます。順番に進めれば、依頼者の探し方に合わせた発信ができるようになります。
1つ目は、依頼者を2種類に分けて考えることです。外国人本人向けと、受け入れ企業向けでは、書く内容も置く言語も変わります。2つ目は、専門分野を1つか2つに絞ることです。ビザ業務の中でも、就労系か、家族滞在系かのように、得意な範囲を決めて前面に出しましょう。
3つ目は、検索エンジンと生成AIの両方から見つかる記事を書くことです。よくある質問に、そのまま答えを書く形が向いています。4つ目は、言語を分けて発信することです。外国人本人が検索する言語で、少なくとも要点だけでも用意します。5つ目は、無料相談への入り口を整えることです。問い合わせフォームだけでなく、相談のハードルを下げる導線を作るのです。
5つをどう進めるか
依頼者を2種類に分けて、書く内容を変える
外国人本人向けのページでは、必要な書類、費用の目安、かかる期間のように、依頼者本人が知りたいことを具体的に書きます。受け入れ企業向けのページでは、採用担当者が社内で説明しやすいように、手続きの流れと会社側の負担を中心に書きます。
同じビザの話でも、読む人によって知りたい順番が違います。本人は「自分がどうなるか」を知りたく、企業は「会社として何をすればよいか」を知りたいのです。
専門分野を絞って、実績よりも専門性を見せる
専門分野を絞れば、事務所としての実績がまだ少なくても発信は始められます。実績の数を見せられない段階では、専門知識そのものを記事にして見せる方法が有効です。
私自身の集客支援の原点は、自分の事業として2000年代に日本でSEO事業を運営していたことです。当時から、専門性が高い仕事ほど、見つけてもらえるかどうかで結果が変わると感じてきました。行政書士事務所も同じで、幅広く名乗るより、狭く深く発信するほうが見つかりやすくなります。
検索とAIの両方から見つかる記事を書く
検索エンジン向けの対策(SEO)と、生成AI向けの対策(GEO)は、書き方が重なります。読者の質問をそのまま見出しにし、答えを最初の数行で書く形が、どちらにも向いています。
記事は書いて終わりではなく、実際にどれだけ見られているかを確かめながら育てましょう。私は5年ほど前、自分の事業のサイトで、月10PVほどしかなかったものを立て直したことがあります。キーワード設計からやり直し、記事を統合して書き直した結果、3か月から6か月ほどで月1万PVまで伸びました。売上も、月5万円ほどから150万円を超える月まで動きました。行政書士事務所の記事も、同じように育てる前提で進めることをおすすめします。
言語を分けて、外国人本人にも届く形にする
外国人本人向けのページは、日本語だけで用意すると、検索にもAIの回答にも出てきません。だからといって、すべての記事を多言語化する必要はありません。依頼が多い手続きから、要点ページを英語などで用意するだけでも変わります。
無料相談への入り口を整える
記事を読んで興味を持っても、問い合わせフォームの入力項目が多いと、そこで離脱します。まずは無料相談で話を聞けるという一文を目立たせ、フォームの項目は最小限にしましょう。
行政書士マーケティングの失敗例
失敗例:扱える分野をすべて並べて自己紹介ページに書きます。専門性が伝わらず、検索でも生成AIの回答でも上位に出にくくなります。自己紹介ページに記載されている専門分野を見直しましょう。
失敗例:日本語のページだけで、外国人本人向けの発信をしないままにします。依頼者の半分に届かない状態が続くため、まずは要点だけでも英語ページを用意しましょう。
失敗例:記事を書いたあと、見られているかを確かめずに放置します。アクセスが伸びているかを定期的に確認し、伸びていない記事から書き直します。
失敗例:問い合わせフォームの入力項目を減らさないままにします。フォームの手前で無料相談の一文を添え、ハードルを下げましょう。
よくある質問
Q: マーケティングにどれくらいの費用をかければよいですか。
A: 最初から広告費をかける必要はありません。まずは記事を書いて検索とAIの両方から見つかる状態を作り、反応を見ながら広告を足すかどうかを判断する順番をおすすめします。
Q: ビザ以外の分野と兼務していても、専門分野を絞れますか。
A: 絞れます。発信するページを分野ごとに分け、ビザのページでは他の分野を前面に出さないようにするだけで、専門性が依頼者に伝わります。
Q: 記事はAIに書かせても大丈夫ですか。
A: 下書きにAIを使うこと自体は問題ありません。ただし、許認可や在留資格の要件についての最終的な内容確認は、行政書士本人が行ってください。制度は改正されることがあるため、公開後も内容が古くなっていないかを確認する必要があります。
Q: 効果が出るまでどれくらいかかりますか。
A: 記事を書いてから検索順位が動き始めるまで、3か月ほどかかることが多いです。生成AIの回答に出るようになるのも、同じくらいの期間を見ておくとよいでしょう。
まとめ
行政書士事務所のマーケティングは、依頼者を外国人本人と受け入れ企業の2種類に分けるところから始まります。専門分野を絞り、検索と生成AIの両方から見つかる記事を書き、必要に応じて言語を分けて発信します。
記事を書いたら、アクセス数などを確かめながら育て、問い合わせの入り口はハードルを下げて整えます。まずは、いま扱っている業務の中から、専門分野を1つだけ決めてみてください。どこから手を付けるか迷う場合は、無料でご相談いただけます。
参考・出典
- 日本行政書士会連合会「行政書士とは?」: https://www.gyosei.or.jp/information/introduction/
- e-Gov法令検索「行政書士法」: https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004

